わかんなかった?(タルタリヤ)

「ほんと、ミラは俺のこと大好きでかわいいよね」

 ほんの少し締まりのない顔で、タルタリヤはそう言ってのける。わたしのことを思いっきり抱き込むその両頬には、いつも「満足」の二文字が書かれているようだった。
 わたしとしては、納得いかない。だってむしろ、そんなことを言うタルタリヤのほうが――

「た……タルタリヤは、いつもそうやって言うけど」
「うん?」
「わたしが……その、タルタリヤのこと、すきなんだって思ってさ。それで喜ぶタルタリヤのほうが、わたしのこと、す、すきじゃん――」

 言ってやったと、そう思った。きっと今頃わたしの頭上では、図星をつかれて照れているか、もしくは真っ赤になって慌てるタルタリヤが出現していることだろう。
 いつも余裕綽々なその顔が羞恥に染まった瞬間を、この目で見てやるとするか――しかし、わたしが期待を秘めながら顔を覗き込むも、タルタリヤは照れるどころかむしろきょとんとした様子で、わたしのことを見つめていた。

「な、なに、その顔っ」
「なにって……随分と当たり前のことを言うんだな、と思って」
「はあ!?」
「俺がミラのことを好きなのは見たらわかることだろ? 好きじゃなかったら一緒に連れて行かないし、好かれて喜びもしないよ」
「う――」
「ぷっ……ふふ、そう。そっかそっか、なるほどね」

 すべてをわかったような顔で、タルタリヤはくふくふと笑っている。こらえるような笑い方はひどく居心地が悪くて、今すぐにでも腕のなかから逃げ出したくなった。
 けれどわたしの体は他でもないタルタリヤにがっちりと抱き込まれており、つまるところ身動きすらまともにとれそうもない。

「ほんっと、かわいいやつ」

貴方は×××で『何を今更、』をお題にして140文字SSを書いてください。

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2024/09/13