彼と、カレーと(ガジ)

公式で片想いフラグのあるキャラとの恋愛描写

 今日は、グリシナのカレーうどんが食べたいナ――
 ひどく穏やかな声でそう言いながら、ガジさんはゆっくりとベッドに沈み、か細い寝息を立てはじめた。
 ……自分が風邪を引いて倒れているということをわかっているのだろうか。日頃の無茶な作業が祟って、すっかり体調を崩してしまったのだ。
 自分よりも看病に向いているだろうから、という理由でトゥーナに呼ばれて。気を利かせてくれた彼女に甘えながらガジ屋へとやってきたのが、ほんの三十分前のこと。そして、顔を合わせるなり冒頭の言葉を言われたのである。
 私の手を力なく握り、いやに火照った頬のまま眠るガジさん。つらそうでも安らいでいるようでもある表情はひどく愛おしくもあり、母性をくすぐるようでもあり――
「……でも、絶対カレーうどんは作らないからね」
 だって、なかなか病人に食べさせるものじやないもの――そう強く誓いながらも、弱っているせいかやけに甘えた様子の彼を思いだした途端、たちまち揺らいでしまいそうになる自分がいるのも事実だった。

 
あなたが×××で書く本日の140字SSのお題は『体調不良』です
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