短編(フブキ)

凍て咲きの紫

※数年後、捏造注意 --- 「おはようございます、さん。そして、お誕生日おめでとうございます」 春月24日の朝、は祝福と共に目を覚ました。寝起きの霞んだ視界のまんなかには、こちらを覗き込むフブキの微笑みが映っている。「……ありがとう」挨拶よ…

であれば、まずは……

※メインストネタバレ注意 --- 「さんと、本当の姉妹のようになりたい……?」 フブキがクラリスとの談笑に花を咲かせていたのは、春の里、いろは茶屋でのことだった。時刻は午後二時、里の気候も相まって眠たくなってくるくらいの頃合いである。 店先…

雪に混じる

※メインスト特大ネタバレ注意 ---  冬の里の夜は寒い。けれど、この寒さがどこか心地よいのも事実だった。 フブキはこの里の夜が嫌いではない。乾燥した空気のおかげで星空の美しさはアズマでも随一だし、皆が寝静まった夜になると、日中には雑音でか…

想わずにはいられない

※龍の国特大ネタバレ注意 ---  私の故郷は、とある悪神によってたやすく滅ぼされてしまった。憎悪にまみれ、快楽のままに人を喰らったあのバケモノを、私は一生忘れることができないだろう。 頭のない亡き骸がそこいらじゅうに転がっていた。やわらか…