短編(絵名)

狂おしくて、どうしても、私は

 私の欲しいものを持っている、あの子のことが苦手だった。 あの子は、私が地べたを這いずっても決して手に入れられないような、至宝のそれを持っている。その現実が頭の奥をつつくたび、私は足元が音を立てて崩れるような恐怖に苛まれ、すぐに視界がどす黒…

君のみぞ知る

 時計の針は、そろそろ夜の七時を指し示そうとしている。カチ、カチ、規則的なそれに耳を傾けながらカーテンの隙間に目を向けると、あたりの景色がもうすぐに真っ暗になりそうな、ひどく複雑な色合いをしているのが見えた。 ――これ、次の絵に使おうかな。…