短編(リシテア)

臆病者の恋路

「あんたは、どことなくクロードと同じ匂いがします」 突き刺さるような視線とともに言葉を発したリシテアは、ただの一度も目を逸らすことなく、じいとを捉えている。 事の発端は積み上がった本の山を前にうなだれるリシテアを見たことだった。彼女はひどく…