短編(忍成司)

飼い犬のきもち

※背後注意--- いい子ね、。私、あなたみたいに素直な子はとっても好きよ――司先輩の声が鼓膜にこびりついたまま、俺は先日の熱帯夜から未だ抜け出せないでいる。 あの夜以来、俺はベッドに思い切り潜り込んでは悶々と考え込むという困った習慣を身につ…

キュートな笑顔に首ったけ?

「ってさー、マジびっくりするくらいお兄ちゃんのこと好きだよねー」 ある休日の昼下がり、学食のスープをごくりと飲み干したときだった。俺の正面でお上品にパンをちぎっている稀が、いささか訝しむような調子で俺に話しかけてきたのである。 さすがロード…