ディルックさんは、わたしにひどいことをしない。
それは日常生活ではもちろん、夜であっても同じことだ。ベッドのうえで触れ合っているときも、あの人がわたしに無理を強いたり、乱暴に体を組み敷いたりするようなことはいっさいない。わたしが言い出しさえしなければ、ディルックさんはいつだって優しく真摯に、わたしのことを愛してくれる。
けれど――否、だからこそ、わたしは彼の残してくれた「痕」を確認するのが好きだ。わたしの体中、至るところに唇を寄せるディルックさんが、何かを発散するようにもたらす痛みと、その証。星座のように散るそれを数えるのは、わたしのささやかな楽しみでもある。
今日だってそれは変わらない。ディルックさんと朝の挨拶をして、着替えるために私室へと戻り、彼の用意してくれた姿見と向き合うこの時間。わたしはひとつ、ふたつと指先を遊ばせながら、彼の想いの丈を噛みしめるのだった。
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2024/08/24