いかがわしい夢を見た。桃琳をおのれの下に組み敷き、不貞の限りを尽くす夢を。
夢のなかの自分はまるで暴君のように彼女の体を蹂躙して、滴る雫の反射光や耳をくすぐる嬌声が、今も五感の奥深くにこびりついている。
しかし、跳ねるように目を覚ました今も彼女の体の柔らかさや体温を鮮明に思い出せるくせに、どうしてだかその表情だけはモヤがかかったようになり、何度思考をめぐらせてもいっさい思い出せなかった。
彼女はどんな顔をしていたのだろう。喜んでいた? 苦しんでいた? それとも、ひどく哀しんでいた?
――わからない。熱と罪悪感に浮かされたこの体は、重雲からまともな思考力を確かに奪っている。
高まっていく体温に伴って薄らいでゆく意識をなんとか繋ぎ止めようと深呼吸を繰り返す傍ら、まるで自分がひどく下劣な人間のように思えて、深いため息と共に、顔を覆ってうなだれる朝だった。