文章

無題(ダイゴ)

好きだと言える人ならよかった。それが信じられたらよかった。恋愛の横たわる関係でありたかった。十年前なら有り得たろうか。戻れたのなら取り戻せるのか。後悔ばかりが牙をむく。悲哀ばかりが萌えいづる。何度体を重ねても、何度言葉を紡げども、2人の仲は…

たとえばふたりが(ダイゴ)

「ダイゴくんは、私がいなくても生きていけるんだろうねえ」 何があったわけではなかった。ただ本当に、何気なく、何の他意もなく呟かれたひと言であったように思う。現には特段へこんでいる様子もなく、相変わらずのんびりした調子で青い空を見上げている。…

きみとの朝(ダイゴ)

「、今日はなんとなく嬉しそうだね」 こくり。かぐわしいカフェオレをひと口飲み下したあと、ダイゴくんが感慨深そうにつぶやく。私は分厚いレンズ越しにどこか力の抜けたようなダイゴくんの目を見ながら、唐突な言葉に彼と相違ないふ抜けた声で返した。「そ…

刹那的な逃避行(ダイゴ)

「――雨、ひっどいねえ」 トクサネシティで雨が降ることは珍しい。 宇宙開発センターが設置されているとおり、この街は晴れの日が多く風向きだって安定している、穏やかな気候を持つ場所であった。 ゆえに雨に関してあまり注意を払っていないというか、何…

恋の盲目(ダイゴ)

※ちょっとすけべ ---  好きだ、そう言ったとしてこの子はそれを恋とは取らない。 それはある種の過ちである、そう、ボクが誤ってしまったのだ。何でもかんでも受け入れた、何でもかんでも許した、何でも認めて何でも愛して何でも抱いて何でも笑んだ、…

きみのこえ(ダイゴ)

 ふと手に取ったのは携帯電話だった。暗がりのなか、画面のライトが目に刺さってひどく眩しい。目に痛いならやめればいいのになぜだか右手の親指はとまらず、ベッドの上に座り込み、背後の冷たい壁にもたれ、片手に収まる小さな端末を操作してとある名前を表…

泣いておくれよホトトギス(ダイゴ)

 、と名前を呼べば大げさにびくつく細い肩。暗がりのなか座り込んだの隣へ座りこみ、キャミソールゆえに露出した細くて白い二の腕に手を伸ばす。弾かれたようにボクを見るは、その目にいっぱいの涙を溜めて弱々しく笑っていた。 ――ボクは、ひどく胸を痛め…

ふたりの笑顔とにほんばれ(シトロン)

※数年後、同棲設定 ---  うずたかく積み上げられた、まっさらな洗濯物の山。近づけばふんわりと柔軟剤の香りがして、清潔感のあるそれになんだかこちらも胸の内が爽やかになる。もちろんそれは毎朝服に袖を通すときも同じで、いつもきっちり管理してく…

あなたとあたしのプロトム図鑑(シトロン)

「おっじゃまっしまーす!」 ういん、とかすかな音を立てて開く自動ドア。ミアレジムの最奥部――この研究室の扉はパスコードを入力しないと開かない仕組みになっており、この場に足を踏み入れられる、それこそが他でもないシトロンくんの歓迎の証であるので…

あたたかい(シトロン)

「た、誕生日プレゼントですか!?」 今日のご用事が終わったら、プリズムタワーへ来てください。渡したいものがあるんです――シトロンからの連絡を受け、光の速さで仕事を終わらせて駆けてきたを迎えたのは、どことなくそわついたシトロンと、彼から贈られ…

あなたのために(シトロン)

「エレザード、そっちのネジ、とってくれるかな」 言われた通りの部品を手に戻ってくるエレザードをひとなで。一瞬ながらも柔らかく浮かべられた笑みは、しかしすぐにきらりと光るレンズの向こうに隠された。愛おしいパートナーへ向けていた視線を再び鉛の山…

無題(カキ)

歌を歌おう、舞を踊ろう。2人にはそれで充分だ! 歌を奏でてステップを踏めば、そうして2人は満たされる。2人の世界が広がってゆく。2人はずっと信じていた。それが永遠に続くものだと、何もかもを繋いでゆけると、誰にも邪魔はされないと、明日も一緒に…